FAA:連邦航空局への手紙

 

背景

昨日の出来事について、書面で申し立てよとの指示によりこれを書いています。最初に、昨日私のスチューデントパイロット証を取り上げ、「あなたにはこれはもう必要ない」と言った親切なFAA担当官にお礼を申し上げたい。これは私に本物のパイロットライセンスをくれるということですね。しかし、この担当官はよく目を付けていたほうがよろしいでしょう。私が全ての出来事を話している間、彼は神経質に手を震わせていました。

とにかく、以下が出来事の大筋です。

先週から天候は不調だったが、その日も凍りつくような雨、低い雲と視界のために私のエキサイティングな飛行を妨げられるのは許せなかった。私は隣家の人を200マイル離れた町にあるすばらしい炭焼きステーキとマティーニを出すレストランへ一緒に行こうと誘っていた。

空港へ行く途中、隣人は少し天候に不安を感じたようだったが、私は再度ステーキとマティーニの話を持ち出し、すぐにハッピィになれるよと約束した。

 

我々が空港に着いたときには、私が習った天候の読み方で既に予測していたように凍りつくような雨は止んでいた。雪が時折ちらついている程度であったが、天候をチェックするとやはり完全な計器飛行条件の状態であった。このような日に飛び立つのは誇りだった。しかし、整備員と話している時、いつも飛んでいるパイパーJ-4が修理中だということがわかった。私の落胆が想像出来るでしょう。しかしこのとき誘導員の少年が賢いことに他の飛行機でいいじゃないかと持ちかけてくれ、そこにいつものものよりよっぽど飛ばしやすそうな飛行機があるのを発見した。この飛行機の名前はPiper Aztec Cというそうで、私はこんな飛行機を飛ばせる証明書なんかないが、急いでいたので何も言わなかった。そうそう、どういう理由か、スペアのエンジンまでついていた。

 

我々は早速飛行機に乗り込み、私はエンジンスタートエンジンを探した。もう誰にも迷惑をかけたくなかったし、エンジンスタートキーを捜すためだけにマニュアルを探し出す必要も無いだろう。そんなことは馬鹿げている。しかし私は、こんなに多くのレバー、スイッチやハンドルが付いた飛行機は見たことがない。そうそう言い忘れたが、私はフライトプランを提出した。私がAztecを飛ばすと言ったら435号線に沿って飛んでよろしいと言われた。これは大変楽だ。他にもいろいろ言われたがそんなことは気にする必要はないだろう。

 

離陸は今までに無いほどスムーズにいった。タワーコントロールはデパーチャコントロールと更新しろと言ったが、私は行く場所がわかっているし、わざわざ連絡を取るのも愚かだと思った。そのとき何か緊急事態が起きたのだろう。ほぼ一斉にエアラインパイロット達が同じ周波数で叫び始めたので、うるさいからラジオのスイッチを切った。あの人間達はもう少ししっかり訓練を受けているべきだ。とにかく上昇を続け、300フィートを超えたところで雲がちらほら出始めたが、435号線は右下に見えていたし、行く先はまっすぐ東だということを知っていたので、しっかりとした雲の天井に飛びこんだ。そのうち雪が激しくなってきたので、地上を見ながら飛ぼうというのは時間の無駄に覚えた。同乗者は景色を見たいだろうが、時折こういう状態じゃしょうがないこともある。

 

飛行は大変スムースだったが、あちこち、特にウィンドウに厚く氷が貼りつき始め、あまり前が見えなくなった。生涯まだ6時間しか飛んでいないパイロットとしては非常にうまくコントールできていると自慢できる。そのうち私の定規とペンシルがシャツのポケットから落ちた。こういうことはよくあると言われていたので気にもとめない。しかしこんなことを信じてもらえるとは思えないが、ポケット時計がピーンと伸びた鎖の上に立っているではないか。私は同乗者にほれ見てみろと言ったが、彼は目を丸くして前方を見つめたまんまだったので、きっと他の人といっしょで高さが怖いのだろうと悟った。ところで高度計は何かおかしく、左や右に常に回っていた。

 

最後に、もう十分な時間飛んだだろうと判断し、下降を始めた。しかし雲の下に出て空港を探したが山々しか見えなかったので、何かがうまくいっていないと感じた。天候予報官達も間違っている。限界のコンディションで雲の天井は100フィートの低さだった。全くこの世界で信じられるのは自分だけだ。何故なら、なんと雷を含んだサンダースト−ムまであちこちで現れていた。こんな霧が黄色く輝く美しい景色は是非同乗者にも見せようと横を見たら寝ているようだったので、わざわざ起こすことはしなかった。しかしこのとき緊急事態が発生した。エンジンが止まったのだった。しかしこのときにはマニュアルが手元にあったので、どこにスタータースイッチがあるのか分かっていたため、落ち着いてもう一つの「予備」エンジンを回すことができた。まったく2つもエンジンがついているのは大変なフェイルセーフだ。全ての飛行機をこうすべき。

 

最終責任を負ったパイロットとしての役割を真面目に果たした。このような悪天候の中、目をしっかり見開き下降しなければいけない。同乗者が寝ていたのが幸いだ。雲の下は真っ暗だったので雷が時折光らなければ、全くどこを飛んだら言いか分からない状態だったから。おまけにウィンドウに氷が張っていたため、道路のサインもよく見えなかった。何台もの車が、我々が直ぐ上を飛びつづけているとき、道路を飛び出していった。車の運転より飛ぶほうがよっぽど安全だと確信できる。

 

長い話を短くすると、とうとう私は町のすぐ横にある飛行場を見つけ、もう既にカクテルとディナーには遅れつつあったので、そこに着陸することに決めた。それは空軍基地だったが、だから滑走路の長さは十分だということを知っていたし、コントロールタワーの上でいろいろな色のライトがフラッシュしているのが見えたので、歓迎されているのがわかっていた。誰かが昔、軍と交信する場合はいつも国際緊急周波数を使えと言っていたのを覚えていたのでそのとおりにしたが、彼らは貴方がたが信じないようなひどい言葉遣いだった。誰かがあいつらの根性を叩きなおしてもらいと納税者として文句を言う。明らかに彼らは誰かが到着するのを待っているようで、霧の中にも関わらず地上の飛行機たちをどかしていたし何かふざけたことをしゃべっていた。彼らを助けて誰かが滑走路に後から入ってきても大丈夫なように、滑走路を避けて駐機場の方へ着陸をした。沢山の人がこちらに向かって手を振りながら走り寄ってきたが、彼らはAztecを見たのが始めてだというのが明確だった。一人の男、なんとか大佐といっていたが、は大変気の短い人間だったが、明らかに何かに対して気ちがいのように怒っていた。私は落ち着いて事態を説明しようとしたが、彼は多分飲酒の問題があるのだろう、彼の顔は真っ赤だった。

 

だいたい、こんなところがストーリーである。天候があまりにも悪いので私はバスで帰宅したが、隣人は病院で寝たままだ。彼はいまだにその後目覚めていないので、まだ一言もしゃべっていない。かわいそうな人だ、風邪かなにか引いたに違いない。

 

他に何か必要ならば知らせて遠慮せず言ってほしいし、私の新しいライセンスは書留の航空便で送っていただけるとありがたい。

 

敬具